11月11日、言わば昨日の記事の続きであるが、昨日の記事を読まれてない方はそちらを
先にご覧になってここにお入りください。
ボラと言う魚、全国で呼ばれる名称はピンからキリまでありまして、主に関東圏と関西圏で
表現すると関東・中部では生後1か月ほどの幼魚を子ボラ・ボコ・デンボコ・そして半年ほど
に成長するとスバシリ・イナ・ボラ・さらに大きくなるとトドと表現する。
又、関西圏では稚魚をハクと呼び、さらに成長するとオボコ・スバシリ・イナ・ボラ・最後は
トドと呼ぶ。関東関西中部の呼び方は若干、差があるようですが最後のトドと言う意味は
もうこれ以上の大きなボラは居ないと言うことでトドの詰まりを表現してトドと呼んでいる。
まっ、四国・瀬戸内・九州圏内では最終的にはボラで片づけているようです。
また、このボラの習性は団体行動(群れ)でして主に主食は砂泥底の泥を吸い込んで有機物
原生動物(虫や卵)、また、藻類などを吸い込い込み、喉肉の臼で越して胃に送るわけですが、
この喉肉を一般的にヘソとかソロバン玉と呼んで中々の珍味であるが学名では幽門と言う。
このそろばん玉が珍味の中の珍味でして、しっかり水洗い処理をすれば刺身、塩焼きなど抜群
である。
また、冬のボラは世界三大珍味の一つでありまして、日本人の方ならほぼご存じのカラスミ。
このカラスミこそ古い時代、中国は唐の国から長崎に渡って来た珍味でして、唐の国から
渡って来たと言うことで『唐墨⇒からすみ⇒カラスミ』と呼んでいるのですが、昔は塩の
塊を食べているようでメチャ塩辛く、とても硬かったせいか火で炙って食して居たらしいが、
今ではエビス亭でも生産していますが、ソフト仕上げで清酒や焼酎で香り付けして美味しい
酒のおつまみにお出ししています。
さてこれから本題に入ると致しましょう〜
丸々と肥えた綺麗なボラですが、ボラを通り越してトドであります。
本当はこの時期のボラの身肉は脂乗りが良く塩焼きや煮つけに最高ですが、さらに舌を狂わ
せるのはハラスの一夜干と柚庵漬けでしょうか。
しかし、300本のボラを捌かなくてはならい関係上、真子(卵)捌きに専念です。
まるで妊婦さんのようなお腹の張りが上物であることは間違いないようです。
で、ここでお腹を裂く包丁は『かやき包丁』と呼ぶ特殊包丁でありまして卵巣に傷をつけない
ように開発された包丁です。画像右下に少し見えると思いますが明日の画像ご覧ください。
ボラは生きたまま、喉に手をやって首の骨を折るのが基本ですが、何千本と大量に水揚げさ
れたため私が現場で処理してきました。
これ見て〜っ!!!。パンパンの真子(卵子)が飛び出してきます。
あっ、ここでハラスを紹介します。卵の上下に白皮の身肉がハラスでして、切れ目から中骨
辺りまでをそう呼びますが、鮮度が良くないと駄目です。
霊門から消化した栄養分が真子に配分され、残りは肛門(右孔)から排出される。
4時間ほどかかったが300本全部捌き終わるが、雄ボラを選別間違いで11本ミスりました。
また、真子の変形・変色も10本ありましたが商品にならないと言うことで廃棄処分です。
こればかりはお腹を裂かないと分かりませんので良くあることです。
では明日の記事、引き続き『その三』をご紹介いたします